REPORT
KIKCHYのこっそりライヴレポート!

LINDBERG 武道館ライブ

もう何度目かの武道館です.

いちばん大事なときに参加できなかった負い目が,彼らを追いかける POWER をくれたかもしれません.10本以上出かけた年が3度もありました.レコーディングディレクターと数を競ったこともあります.正月の大阪城で,ツアースタッフにまぎれてお年玉をいただいたことさえありました.

Gパンがしぼれるくらいの汗にまみれた最後の大宮フリークス,知り合う前からたぶん全部知ってるパワーステーション.目が合う距離で感じる音圧.ダーリン佐藤まで含めてみんな,メンバーの誰を見ていてもウキウキしてくる,最初のロックバンドでした.

武道館の関係者席はじれったい.飛べなくて歌えなくて,いつでもいつか,アリーナの後ろのほうでもりあがっていました.

今日,2階の南の最前列で,座って見る10か月ぶりの武道館.甲子園球場の阪神ファンのようなはじけたお客たちを,いつもより冷静に見おろしながら,でも,ああこれだってちょっとほっとします.

忙しいことがあたりまえのことと勘違いして,減りようのない TO DO を減らし続けている毎日に,忘れてしまいそうになるあたりまえのことのいろいろ.拾うことができるから,やっぱライブは出かけなくちゃって,思い出しました.

LINDBERG には夢があります.渡瀬の歌う声に,僕は夢を見ます.達ちゃんの,川ぞえの,チェリーの描いたメロディーが,ハレの空間をそこに創り出して,だからみんながきっと幸せな気持ちになれる.大きな武道館,顔の表情は読みとれなくても,歌の表情にワクワクできるステージです.

テレビのブラウン管とスピーカーでどうしたら伝えられるだろう,とか,笑いの基本はルーズだよな,とか,脈絡のないいろいろなことをひとつひとつ浮かべながら,今夜は,跳ばなくてもわかるとびきりキュートなロックショウに,僕が今できる精一杯のスタンディングオベーションをおくります.

フジテレビ 第2制作部  きくち伸


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