REPORT
KIKCHYのこっそりレポート!

佐野元春さんについて


★「FACTORY」のプレゼンターに
佐野さんを起用した理由

3年半前,前身である「TK MUSIC CLAMP」をたちあげるとき,本当は 最初にイメージしたのは「佐野元春のサウンドストリート」でした.

HEY!HEY!HEY! を はじめたばかりで,「音楽の話をいっさいしない音楽番組」として成功しつつあったそのころ,わたしの中で もうひとつ「音楽の話以外はいっさいしない音楽番組」をつくりたいという願望がありました.

それで「サウンドストリート」の企画をもって佐野さんにお逢いしたのですが,そのときはちょっと時期的にも難しくて,結果,後日 小室さんにお願いすることになりました.

そうしてはじまった「TK MUSIC CLAMP」で,メインゲスト以外に 新進のミュージシャンを紹介するコーナーを構成したのですが,いろんな想いをこめて,そのコーナーを 佐野さんの「m's factory」から,「FACTORY」と命名しました.

3年間という深夜番組としては異例の長期間続いた「TK MUSIC CLAMP」が終わって,その1コーナーである「FACTORY」を番組として独立させることが決まったとき,わたしとしては自然な流れのなかで,そのトータルなイメージとして,あからさまに 佐野さんのロックンロールショウケース「THIS」を意識しました.そのことをお話ししたら,佐野さんが興味をもってくれて,今回 このタイミングでの スペシャルな4週間が実現しました.

★佐野元春を知ったのは(最初に買ったレコードは)

大学に入学してすぐ,友達のカーステレオで聴いた「アンジェリーナ」.とびました.けれど,学生としてナニかとびんぼうだったので,しばらくはずっと,そのころできはじめた貸レコード屋さんに頼りきっていました.それから,「サウンドストリート」のエアチェック.ですから,佐野さんにはこんな話できないのですが,はじめておかねを出して買った佐野さんのレコードは,どうしてもほしくてほしくてほしくてしょうがなくて手に入れた 12 inch の「Complication Shakedown」です.すみません.会社に入って おかねがはいって,アナログもディジタルも シングルもアルバムも かたっぱしからぜんぶそろえました.カセットブックも THIS も.

★きくちにとって佐野元春はどんな存在か

兄貴.スタイリッシュなロックンロールを教えてもらいました.佐野さんの言葉撰びと話しかたが,わたしにとってはかっこよくてしかたありませんでした.7つ下の弟がひとりいるだけのわたしには,勝手ながら,理想の兄貴をイメージしていました.兄貴って影響を受けるものです.

★どのような音楽を聴いて育ったか。内外、ジャンルを問わず印象に残っている曲、アーティスト

日本のフォーク/ロック それから ポップスを 執拗に聴いて育ちました.
小学生のころ 吉田拓郎さん,はっぴいえんど,浅田美代子さん が わたしなりの音楽の原体験です.曲でいうと 拓郎さんの「マークII」が 強いです.

ふりかえって思うに,誰かほかのひとに書きおろしても一発で誰の作品かわかるような,ヴォーカルに負けないメロディを書けるソングライターが好きで,反面(矛盾しているんですが),誰が書いた曲をうたっても自分の歌にしてしまう メロディに負けないヴォーカルが好きで,それは わたしにとっては,拓郎さんだったり大瀧詠一師匠であったり甲斐さんとか清志郎さんとか,そして 誰よりも「佐野元春」でした.

佐野さんの楽曲のなかで,印象に残っている曲をひとつ挙げるのは とても難しいことですが,今日の気分で「Rock'n Roll Night」にさせてもらいましょうか.ちょっと べた ですが.

★10代、20代のいわゆる新世代のアーティストたちと仕事をして

気負いのない 若くて素晴らしい 可能性にあふれた 新しいアーティストたちがたくさんいます.(最近でいうと)ショコラをはじめて感じたときのように,本当はわたしのほうからライブハウスをまわって出逢ってゆくべきと思うのですが,番組 FACTORY をたちあげたおかげで,ちょっとでも興味のある新世代のアーティスト,それから,(彼らの)今を見極めたい現世代のアーティストたちが,目の前でライヴパフォーマンスを披露してくれます.だからわたしは,スタジオやテレビの前でたのしんでいるみなさんと全く同じように,彼等との出逢いをたのしんでいます.

今回でいうと Dragon Ash は,佐野さんがいなければ 今 このタイミングで 出逢うことは難しかったかもしれません.彼らのステージに衝撃をうけて,佐野さんがくれたこのめぐりあわせにとても感謝しています.

★「FACTORY」のようにライブ形式の音楽番組を制作するうえで気を付けていること は何ですか。今後やってみたいことは何ですか

「LOVE LOVE あいしてる」にも言えることですが,スタジオに来てくれたオーディエンスのみなさんに まず,ショウとしてたのしんでいただきたい.そして 参加してくれた全てのミュージシャンたちにたのしんで帰っていただきたい.そのうえで,クールだったり あるいは ホットだったり,スタジオのその「いいかんじ」が オンエアにのればと,いつも考えています.

★最後に、佐野元春のファンへ一言メッセージ

同じ佐野元春ファンのひとりとして,このような取材をうけるチャンスをいただいたことを,とても光栄に思います.

佐野さんにはわたしの十代の最後のころからずっと,とりわけ人生のスタイルのうえで,大きな影響を受けてきました.

わたしはわたしにできることで,佐野さんに恩返しし続けたいと思っています.

●きくちのプロフィール
きくち伸(「FACTORY」プロデューサー)
1962/05/28 岩手県生まれ 筑波大卒
1985/04 フジテレビ入社
「夜のヒットスタジオ」アシスタントディレクターを経て 多数の音楽番組のディレクター/プロデューサーをやらせていただいてきています.佐野さんとは
「サウンドアリーナ」出演時の担当ディレクター
「MJ」出演時のプロデューサー/インタヴュアー
「TK MUSIC CLAMP」出演時のプロデューサー
「HEY!HEY!HEY!」出演時のプロデューサー/担当ディレクター
「LOVE LOVE あいしてる」出演時のプロデューサー
そして 番組「FACTORY」出演時のプロデューサーとして 11回もお仕事をさせていただいている めずらしい そして とってもしあわせな テレビマンです.

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