REPORT
KIKCHYのこっそりレポート!

川本真琴の渋谷公会堂(1998/06/14,15)


はじめてのツアーから11か月,たった1枚の新しいシングルをひっさげて,川本真琴は渋谷公会堂に帰ってきました.

リリースした楽曲すべてをうたっても13曲,おまけの2曲と,もう1曲 本当の新曲「ハート」.去年よりかはちょっとだけ長くなった彼女のステージは,小気味よいくらいのあっけなさで駆け抜けてゆきます.

僕は川本真琴の「うた」にやられています.圧倒的な声のパワー,でもそれだけじゃなく,もちろんうまいへたでもなく.

デビュー直前,彼女が僕たちの番組に出演したとき,いちばん最初のリハーサルで,彼女がはじめてうたった,その最初の一声でまいってしまいました.スカスカに仕上げられた演奏,岡村靖幸独特の濃いメロディーライン,けれど彼女がうたうその一点で,「愛の才能」は川本真琴の圧倒的なデビュー曲でした.

1年とちょっとたったツアー初日,インディ−ズのロックバンドのような力強さで,何よりも「うた」がきこえるコンサート,女の子がギターを掻き鳴らすかっこよさを見せつけてくれた,それが去年のこと.

今年も楽曲はまるで同じ,なのに,ギターがもう1本,佐橋さんが入って厚くなった川本バンドは,去年とはずいぶんちがったニュアンスの音で楽しませてくれました.

メジャーなバンド感.ロックとかそういうのが関係ないステージ.そして全てを超えてゆける「うた」のちから.彼女がうたって気持ちいい,僕たちが聴いて気持ちいい,張りっぱなしの彼女のメロディーが,天才にあふれた詞をぶつけてきます.全部とびっきりの彼女の言葉です.

毎日必ずちがう衣装も,毎日たぶんちがうMCも,このごろめずらしい男の子が元気なコンサートは,女の子の可能性をちりばめた,せつなくてきらきらした2時間でした.

トークのことは,それは,来年の渋谷公会堂でそれぞれにたのしんでください.


フジテレビ 第2制作部
きくち伸

Copyright (c) 1998 Fuji Television Network Inc. All Rights Reserved.